家庭医レジデントの備忘録

総合診療専門医を目指して勉強中です。内容の間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。ブログ内に直接パワーポイント等のファイルを張り付けることができないためscribdというサイトを併用しています。

レントゲンで診断した肺炎(CXR pneumonia)と、レントゲン陰性でCTで診断した肺炎(CT-only pneumonia)を比較した研究

 
レントゲンで診断した肺炎(CXR pneumonia)と、レントゲン陰性でCTで診断した肺炎(CT-only pneumonia)を比較した研究です。
 
臨床アウトカムにいずれも有意差がなかったことから、レントゲンではっきりしなくても疑わしかったらCTも撮像して診断する、というプラクティスが正当化されるかもしれません。(CTが撮像できるセッティングなら)
 
ただ、気になる点がいくつか。
①CT-only pneumoniaの症例数が少ないため、もっと症例数が集まれば有意差がつくのかもしれません。サンプルサイズの計算はなさそうでした。
②入院患者のみを対象としているので、外来症例でどうかはわかりません。また、Studyが行われた病院の規模はわかりませんでしたが、除外基準で移植とか免疫不全とか書いてあるのを見ると、それなりの規模の病院なのかなという印象を受けます。
③レントゲン陰性で、CTは撮像されてないけど臨床的には肺炎が疑われる、という症例は含まれてません。
④両群ともレスピラトリーキノロンの使用率が高いです。個人的には緑膿菌結核をカバーしてしまうキノロンは、あまり使わないようにしています。
⑤普段見ている症例と比べると年齢が若いです。
  
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P
18歳以上で急性呼吸器症状があり、研究専任の放射線科医師により肺炎の画像診断を受けて入院となった患者
除外:免疫不全のない人で過去28日以内の入院、または免疫不全のある人で過去90日以内の入院、ADL自立でないナーシングホーム入居者、気管切開、胃瘻造設後、嚢胞性線維症、好中球減少を伴う腫瘍、過去90日以内の移植、アクティブなGVHD、閉塞性細気管支炎、HIVでCD4<200、肺炎以外の診断
 
I/C
レントゲンかCTで肺炎診断
*治療医が研究と関係なく検査を選択
(レントゲンのみ または レントゲン+CT。CTのみ撮像というケースは含まれてないようだ)
*研究専任の放射線科医師が別途読影して、肺炎と診断したもののみを組み入れ
 
↓2つに分類し解析
CT-only pneumonia:CTでのみ肺炎が見つかりCXRでは肺炎なし
CXR pneumonia:CXRで肺炎あり(CTの有無や結果は問わず)
 
PO
初期の臨床徴候
投与された抗生剤
病原体
短期臨床アウトカム(入院期間、ICU入室、人工呼吸器管理、昇圧剤を要する敗血症性ショック、中等度以上のARDS、入院中の死亡)
 
SO
なし
 
T
 
 

症例数の偏りが大きい。
併存症は有意差なし
PSI、CURBは低めに見えるが有意差はない
CT-only pneumoniaの方が年齢がやや若い 両群とも50代
 
 

使われた抗生剤はこんな感じ
レスピラトリーキノロンの率がどちらも結構高い
 
 

病原菌
細菌は肺炎球菌が多く、ほかは少ない
ウイルスはライノウイルスが、CT-only pneumoniaで多い
 
 

アウトカム
いずれも有意差なし
 
 
 
 
 

ツツガムシ リケッチア

メーリスでご共有頂いた論文。
幾つかのラボ異常があれば事前確率を下げられるというのは臨床上役立ちそうだと思いました。
もちろん自施設と本論文の地域のツツガムシが同じ特徴かどうかはわからないので、そのまま適用できるかはわかりませんが。
 
千葉県南房総の3医療機関(865床の病院、149床の病院、無床のクリニック)を受診した患者で、
発熱・皮疹・痂皮・呼吸器症状、意識変容、リンパ腫脹、神経異常、全身痛、悪寒戦慄、頭痛、倦怠感の症状があり他の明らかな原因がない患者
 
日本紅斑熱(Japanese spotted fever JSF
ツツガムシ病(Scrub typhus ST)
非リケッチア(Non Richkettsial disease)
の3つに鑑別
 
JSFやSTの診断は痂皮検体のPCR陽性か、ペア血清陽性(IgGかIgMが4倍以上)
 
 
ツツガムシに多い所見
55歳以上に多い LR+ 1.64 LR- 0.79 (計算して算出)
山暴露 LR6.4(2.9-14.3)
茂み暴露 LR+7.1(1.8-28.6)
農業 LR+8.3(3.6-18.7)
 
主訴頭痛 LR+3.4(1.3-9.0)
主訴倦怠感 LR+3.5(1.4-8.6)
 
皮疹 LR+19.4(8.2-45.9)
痂皮Eschar LR+23.8(12.1-46.8)
 
AST>33 LR+4.8(2.8-8.4)
LDH>229 LR+8.5(3.3-22.1)
Na<135 LR+3.0(1.6-5.6)
 
 
ツツガムシで少ない所見
WBC>9800 LR+0.2(0.1-0.3)
Hb<11 LR+0.2(0.1-0.3)
Alb<3.4 LR+0.3(0.2-0.6)
TB>1.0 LR+0.4(0.2-0.8)
DB>0.4 LR+0.1(0.1-0.4)
CRP>10 LR+0.3(0.2-0.6)
 
 
 
 
 
 
 
 

アミオダロン アンカロン

当院でアミオダロンの採用がなかったため、新規採用PRのために作りました。

いま採用の方向で動いていただいています。

 

https://ja.scribd.com/presentation/385172422/Amiodarone

タニケット Tourniquet 動脈損傷 血管損傷

先日初診外来をしていたときのこと。
中年の男性が、現場関係の仕事中に鉄の扉に指を挟まれ病院に駆け込んできました。
左第3指のDIP~PIP関節の腹側から背側にかけて深く抉れるような創あり。
拍動性出血あり、血管は同定できず。
一応指を動かすことは可能で触覚もあり(といっても出血がひどかったのでしっかり評価はしてませんが)血色は悪くない。
腱損傷や神経損傷、開放骨折の可能性も考え、即救急車で高次病院搬送しました。
(搬送を優先してレントゲンは撮りませんでした)
 
出血は圧迫止血では止まる気配がなく、電気メスで焼灼しようとも思ったんですがタニケットを巻いたら何とか止血。
上級医とも相談したんですが、下手に組織を傷つけるよりは、と思いそれ以上の処置は行いませんでした。
 
で、勤務施設から高次病院までは救急車で1時間弱かかる距離。
タニケットってそんなに巻いてていいんだっけ?と思い文献検索しました。
 
 
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出血のコントロール
・圧迫止血
・血管のクランプ:しっかり見えてない状態で行うのはNG
・タニケット:よく使用される
*電気メスに関しては記載が見当たらず
UpToDate Severe extremity injury in the adult patient last updated: Jun 16, 2017.
 
 
タニケットの合併症
機械的圧迫による直接障害や虚血と、再潅流によるもの
 
 
局在性
筋障害
神経障害
血管障害
皮膚障害
タニケット不全(出血)
タニケット痛
 
 
全身性
心血管:血流低下によるショック・MI、再潅流による心不全など起きるかも
肺:タニケット解放時に呼気CO2↑するかも
神経:PaCO2上昇で脳血流増加し脳の障害を助長するかも
血液:DVTはタニケットの有無で不変。過凝固状態→線溶系亢進→タニケットオフ後に出血助長するかも
 
 
使用時間
可能な限り短時間で!
2時間以上使用する場合には、1-2時間毎に10-15分程度エアを抜くこともある
 
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よく考えたら整形のオペとかで使われてるし、おそらく1時間くらいは基本的には問題ないんでしょう。
全身性の合併症があるとは想定してませんでしたが、あくまで「病態生理学的にはこういうことが起こりうる」みたいな書き方だったし頻度まではわかりません。
 
かなりビビった症例でした。

尿路結石の疫学

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とあるブログに「50代以上の初発の尿管結石疑いは?と思え」と書いてあったんですが、むしろそのくらいの年代が一番多いような気がしたので調べてみました。

 

UpToDateやDynamedには珍しく年齢の疫学の記載なし。

で、上図論文を見つけました。

 

男性>女性

男性は40代、女性は50代にピーク

ただ、これは年代毎の発症率を見ているだけなので、初発かどうかはわかりません。

AAAとかも増えてくるので、初発なら安易に尿管結石と決めつけないことが大事。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

というわけで、Take home messageとしては

「有名な先生方のお言葉はありがたいが、疑問点があれば自分で調べなおす」