家庭医療専門医の勉強記録

医学・非医学問わず、学んだことを投稿しています。内容の間違いなどありましたらご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

川崎病(MCLS:mucocutaneous lymph node syndrome )

川崎病について小児科研修の最後に発表しました。小児科の先生にご意見を頂き、改編したものを下に載せます。ご参考になれば。
 
 【メニュー】
・ポイント
・概念、疫学
・症状、診断
・不全型について
・鑑別
・検査
・重症度
・治療の概要
・コンサルトのタイミング
・予後
川崎病の既往のある患児を診たら
 
 
 
【ポイント】
発熱患者(特に6か月~5歳くらい)の場合、川崎病を鑑別に挙げる
川崎病の治療の目的は冠動脈瘤形成の予防
IVIG投与が遅れないように、適切なタイミングで入院施設を持つ小児科にコンサルト
川崎病の既往のある患児を診たら「川崎病急性期カード」をチェックし、予防接種やライ症候群など注意する。
 
 
 
【概念・疫学】
原因不明の急性小中血管炎
 
好発:多くは4歳未満(80-85%) 6か月-1歳までが最多
有病率:人口10万対215/年
  →5歳までに凡そ100人に1人が罹患(日本)
男女差:男児に多い(1.3-1.5:1)
再発率:2-3%
同胞例:1-2%
 
成人発症例もある(一番高齢発症は68歳!)
Emeline G-M et al, kawasaki disease in adults : report of 10 cases, medicine, volume 89, number 3, May 2010.
 
 
【症状・診断】
・主要症状5/6以上 or 4/6 + 冠動脈瘤 + 他疾患除外
1.5 日以上続く発熱(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)
2.両側眼球結膜の充血
3.口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
4.不定形発疹
5.四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑
          (回復期)指先からの膜様落屑
6.急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹
 
①発熱
通常は初発症状 38.5度以上が多い 稽留熱(日内差<1度)
軽症だと5日以内に解熱しうる 3-4週間持続することもある
乳児→機嫌不良 年長児→倦怠、不穏、関節痛など
 
 
②両側眼球結膜充血

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鋭敏な指標で、重要視している小児科医は多いらしい
角膜輪部(中心部)は通常充血しない
眼脂はない~白色少量 
偽膜形成なし 
・診察が難しい場合→保護者に「いつもと比べてどうか」を聞く
溶連菌感染症では通常認めない
・眼脂や偽膜形成がある場合はアデノ、SJS/TENなど考慮
 
*偽膜:フィブリン、壊死を生じた上皮細胞、浸潤細胞(主に好中球)からなり、眼表面の炎症が高度であることを示す

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③口唇・口腔所見

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口唇:口紅を塗ったように赤い 所見強いと腫脹、亀裂→出血
舌:イチゴ舌=発赤腫脹+舌乳頭肥大 溶連菌でも認めうる
口腔:粘膜は全体に発赤。扁桃白苔はほぼなし
・SJS/TEN 口腔内のびらん、潰瘍、水疱
・アデノ、EBV 扁桃白苔
・麻疹 Koplik斑
 
 
④皮膚:不定形発疹(どんな発疹でもとりうる)

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どんな皮疹でもとりうる
典型例:蕁麻疹や多型滲出性紅斑様 大小不同 地図状に部分的に癒合 平坦~やや膨隆の斑状疹
出現しやすい部位:陰部・臍
・出血斑、水疱形成はなし → 水疱やNikolsky現象(正常皮膚が容易に剥離)あればSSSS、SJS/TENも考慮
・SLEなど膠原病、自己免疫疾患も鑑別
 
参考条項→上腕のBCG接種痕:発赤腫脹はかなり特異的 接種後1年間くらいの児に限られる
 
 
⑤四肢

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手掌、足底、指関節部の発赤腫脹、指圧痕なし=硬性浮腫
典型例:光沢が出るほど腫脹 「テカテカパンパン」
→回復期:本来のしわが見られ→その後指尖部と爪床の境界から膜様落屑(発症10-15日)
*DD 感染性心内膜炎→Janeway Osler
 
 
⑥非化膿性頚部リンパ節腫脹 

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出現頻度は70%前後で他に比べて低い(他は90%以上) 
特に1歳以下の乳児には少ない
1個以上 直径1.5cm以上(成人拇指頭大) 集塊として触れる しばしば片側性 
同部の皮膚は発赤 お椀を伏せたように膨隆 圧痛強い
充実性で比較的硬い 波動なし
*鑑別:化膿性リンパ節炎、流行性耳下腺炎、EBV、菊池病など
 
 
 
【不全型川崎病
・主要症状4つ + 冠動脈瘤なし または 主要症状<3 -="" div="">
・四肢、頸症状の頻度低め、口、結膜症状は2/3-3/4の患者でみられる
・乳児のBCG接種部位発赤、年長児の多房性頸部リンパ節腫脹などは特異度高い
・主要症状が少なくても冠動脈障害を起こす例があるため、軽症と捉えないことが大切
 
 
 
【鑑別診断】
風疹、麻疹、多型滲出性紅斑、溶連菌(猩紅熱)、アデノなど
溶連菌・アデノ迅速はチェック
*ウイルス疾患と併発することがあり、上気道症状やウイルスPCR陽性があっても除外できない
 
  川崎病 麻疹 アデノ 猩紅熱
(溶連菌)
エルシニア
年齢 4歳以下 1-6歳 乳幼児~学童 5-10歳 6歳以上
発熱 (+++) (++)
二峰性
(+++) (+~++) (++)
皮膚
粘膜
不定形発疹
眼球結膜充血
紅斑:
第二峰発熱~
→癒合→色素沈着
結膜炎
眼脂
鮮紅色、粟粒大
密集性小丘疹
不定形発疹
結節性紅斑
口唇
口腔
イチゴ舌
口唇紅潮
Koplik斑 咽頭炎
滲出性扁桃炎
口腔蒼白
イチゴ舌
 
関節 時に見られる (-) (-) まれに関節痛 時に
合併 動脈瘤
無菌性髄膜炎
胆管炎胆嚢炎
肺炎中耳炎
結膜炎
重症例では脳炎
肺炎
出血性膀胱炎
髄膜炎
咽頭扁桃炎 腸炎
急性腎不全
検査 白血球増多 白血球減少
麻疹ウイルス抗体
白血球増多
アデノ抗原
白血球増多
ASO/ASK上昇
咽頭培養
白血球増多
便培養
エルシニア抗体
治療 免役グロブリン
アスピリンなど
対症療法 対症療法 ペニシリン 抗菌薬
 
 
  SJS/TEN SSSS リウマチ熱
若年性
関節リウマチ
年齢 3-30歳 1-6歳 5歳以上 2-3歳8-9歳
発熱 (++) (-)~(+) (++) Spike fever
皮膚
粘膜
多形滲出性紅斑
紅斑様皮疹
眼脂水疱びらん
Nikolsky現象
皮膚粘膜移行部に
紅斑
水疱
Nikolsky現象
輪状紅斑
皮下結節
リウマトイド疹
リウマトイド結節
口唇
口腔
点状出血斑
口唇亀裂びらん
口周囲に
放射状亀裂
(-) (-)
関節 時に (-) 一過性移動性 6週間以上持続
合併 二次感染 二次感染 MR、AR
小舞踏病
虹彩炎心膜炎
検査 白血球増多 白血球増多軽度
ブドウ球菌
白血球増多
咽頭培養
ASO/ASK上昇
白血球増多
治療 全身管理
感染予防
スキンケア
原因除去
抗菌薬 ペニシリン
ステロイド
アスピリン
アスピリン
ステロイド
免疫抑制薬
 
 
【検査】
①鑑別目的                               
アデノ、溶連菌迅速 ほか必要に応じ便培養、エルシニア抗体、ASO/ASKなど
②重症度評価目的
血算(白血球分画含む)
TP/Alb AST/ALT/TBil/γGT Na/K/Cl BUN/Cre
NTpro-BNP → 川崎病の参考所見
ESR
PT/APTT/Dダイマー/FDP → 血管炎であることの参考所見
尿定性/沈査 → 無菌性膿尿も参考所見になる
 
 
【重症度 群馬スコア 】
2点 Na≦133mEq/l
2点 AST≧100U/l
2点 診断(治療開始)病日≦第4病日 → 早い段階で診断がつく=それだけ症状が強い
2点 好中球≧80%
1点 CRP≧10mg/dl
1点 Plt≦30万/μl
1点 年齢≦12 months
→5点以上で、IVIG不応例に対して感度76%特異度80%
 
 
【治療概要】
目的→冠動脈瘤の予防(第7-9病日あたりが一番汎冠動脈炎の炎症が強い?)
 
・静注用免疫グロブリン(IVIG)投与                       
 冠動脈病変発症率は25%→5%に減少(第7病日以前にIVIG投与開始が望ましい)
 
・抗血小板薬投与(アスピリンが第一選択)
 血栓形成予防
 
↓IVIG不応例
ステロイド(パルス)、血漿交換、生物製剤、免疫抑制剤
 
 
 
【紹介のタイミング】
(非医学的な要因、全身状態不良は除く)
 
川崎病だとしたら、第7病日までにはIVIG開始したい              
→遅くとも、第5-6病日に小児科で診断できるようにしたい
 
①発熱≧5日:
 他に確定的な診断がない
 診断はついているが川崎病併発も疑われる
 
②発熱<5日:
 他の5症状のうち4-5症状ある
 1-3/5症状でもBCG接種痕発赤などあり疑わしいとき
 
*来院前の症状も確認!
症状が出たり引いたりすることがあり、来院時に必ずしも揃ってないこともある
*迷ったら、採血値なども参考になる(CRP上昇、Na低下、Alb低下など)
 
 
【予後】
→14%が冠動脈瘤
→約半数は自然消退
 稀に破裂
 2%が虚血性心疾患
 1%が心筋梗塞
 0.5%が突然死
若年成人の虚血性心疾患を見たら、川崎病の病歴(KD既往、不明熱など)を聴取!
 

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川崎病の既往のある患児を診たら】
⓪治療内容の確認
川崎病急性期カード」が母子手帳にあれば見せてもらう。

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アスピリン(ASA)投与している児の場合
・インフルエンザ,水痘罹患時にアスピリン投与はライ症候群の発症と関連あり
*ライ症候群:急性脳症と肝脂肪変性,死亡や後遺症発生のリスク高い
(低用量投与時のリスクは不明確)
 
・ASA投与中に疑わしい症状が出現した場合
→一時的に中止することが多い。
 
特にCALある場合は、入院中の担当医に相談 電話問い合わせ
 
②IVIG投与していた児の注意
○予防接種
MR・水痘・おたふく(=非経口生ワクチン)
 →6か月空ける(一時的にウイルス血症を惹起。抗体つきにくい)
他のワクチン
→通常通り接種可(急がない場合は、2か月を過ぎたあたりで行うのが無難)
 
献血→不可(現在の検査法では検出できない未知のウイルス感染の可能性)
                     http://www.jrc.or.jp/donation/about/refrain/detail_05/
 
③冠動脈瘤を形成した児の場合
・小さいほど自然退縮しやすく、約半数が1-2年で退縮
・巨大瘤は自然退縮しにくい
・胸痛などで来院した場合は、ACSも考慮
 
 
【参考文献】
・Robert S, Kawasaki disease: Epidemiology and etiology, UpToDate, last updated Apr 01, 2016.
・Robert S, Kawasaki disease: Clinical features and diagnosis, UpToDate, last updated Feb 22, 2016.
・Aaron S, Diagnosis and Management of Kawasaki Disease, Am Fam Physician. 2015 Mar 15;91(6):365-371.
・中野 康伸, 自信がつく! Dr.中野のこどものみかた(上巻)ケアネットDVD, 2004, ケアネット.
川崎病(MCLS、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)診断の手引き (厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版)
石井正弘, 五十嵐隆, 川崎病のすべて (小児科臨床ピクシス), 全訂新版, 2015, 中山書店.
・Jessica LT et al, Concurrent Respiratory Viruses and Kawasaki Disease, Pediatrics, September 2015, VOLUME 136 / ISSUE 3.
・Jartti T, Lehtinen P, Vuorinen T, Koskenvuo M, Ruuskanen O. Persistence of rhinovirus and enterovirus RNA after acute respiratory illness in children. J Med Virol. 2004;72(4):695–699pmid:14981776
・塚田瑞葉ら, 両側冠動脈瘤を合併した成人発症型川崎病の1例, 心臓 vol.45 No.11(2013).
・Emeline G-M et al, kawasaki disease in adults : report of 10 cases, medicine, volume 89, number 3, May 2010.

クループ

診察室で「ケンケン」と聞こえたら真っ先に考えるべき疾患でしょうか。

咳をあまりしてくれない子もいて、そういう子は泣いた後に「ヒュオッ」と息を吸うのがクループっぽいと小児科の先生が教えてくれました。

 

 
【定義、特徴】
特徴:喉頭、声帯下の炎症によるStridor、咳、嗄声などの呼吸障害
病因:ウイルスが多く、細菌は二次性。パラインフル1が最多、ほかRSウイルス、インフルエンザ
好発:6-36か月に最多、春から初秋
 
*好発年齢以外なら器質的疾患考慮
6ヶ月未満 血管輪など
学童以降 ポリープ、腫瘍など
 
 
【臨床症状、評価、診断】
鼻過敏、鼻閉、咳など上気道症状から始まり徐々に増悪
12-48時間以内に発熱(平熱例もある)、嗄声、犬吠咳(けんばい)、stridor
 
嗄声や犬吠咳:急性喉頭蓋炎、異物、血管神経浮腫では通常なし
発熱:ない場合は痙攣性クループ、異物、血管神経浮腫など
嚥下困難:急性喉頭蓋炎、異物など
流涎:扁桃周囲・咽後膿瘍、咽頭後壁蜂窩織炎喉頭蓋炎。あるスタディでは喉頭蓋炎の80%、クループの10%にみられた。
咽頭痛:喉頭蓋炎で60-70%、クループで10%
大泣き後の吸気時のヒュー音:名称がなさそうだけど、小児科drによると有用とのこと
 
○診断
犬吠様咳嗽やStridor、流行状況などから総合判断
              
○診察
できれば泣かさず診察(浮腫悪化の懸念)
咽頭や鼓膜などの診察は場合によっては省略したり後で行う
 
○鑑別
喉頭蓋炎:発熱、ぐったり、sniffing positionなど
気管異物 5killer sore throat 血管神経浮腫 上気道損傷 上気道奇形 など
 
○レントゲン:特に異物の除外に有用

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(文献2より)Steeple sign(上気道狭窄):正常児でも呼吸の相によっては見えることあり 
 

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(文献2より)矢印:声帯下狭窄 矢頭:下咽頭の拡張
 
youtubeで典型的な犬吠様咳嗽のビデオがあります。 
 
【重症度】The Westley croup score
項目\点数 0 1 2 3 4 5
意識 正常(睡眠含む)         失見当識
チアノーゼ なし       興奮時 安静時
Stridor なし 興奮時 安静時      
Air入り 正常 減少 著明減少      
陥没呼吸 なし 軽度 中等度 高度    
 
0-2点:軽症
3-7点:中等度
8-11点:重症
12-17点:切迫呼吸不全
→前駆症状として倦怠感、著明な陥没呼吸、呼吸音減弱、意識レベル低下、熱以上の頻脈、チアノーゼや蒼白
 
 
【マネジメント】
①軽症例:デキサメタゾン→効果遅い、再発予防目的
・経口のデキサメタゾンの単回投与:0.15~0.6㎎/㎏ 0.1mg/ml
(文献1では同量のベタメタゾンや、筋注静注も可となっている。)
・軽症ではエピネフリン(ボスミン®)吸入は文献1では推奨なし
・湿気の吸入:メタ解析で効果ないが、快適かもしれない。使っても変わらなければ中止。
 
②中等~重症:ボスミン®吸入+デキサメタゾン
・ボスミン外用液0.1%:生食2mLに溶かして15分で吸入 効果早い
(文献1は0.2ml、文献2は0.05mL/kg(最大0.5mL) 現在の勤務先は0.5mlに統一されてる)
・15-20分毎に繰り返し投与OK、2-3時間以内に3回以上投与するなら心電図モニターするべき
 
デキサメタゾンやリンデロンのシロップ剤は、甘ったるくて量も多くて飲むのは大変。
 細粒があればそちらの方が飲みやすいかも
*ボスミンや加湿でかえって泣いたりして悪化することもあるため、軽症でやるかどうかは微妙
 
 
【参考】
1)横田俊平, 他, 小児の薬の選び方使い方, 改訂第4版, 2015, 南山堂.
2)Charles RW, Croup: Clinical features, evaluation, and diagnosis, UpToDate, last updated Dec 15, 2015.
3)Charles RW, Croup: Approach to management, UpToDate, last updated Apr 17, 2015.

アデノウイルス アデノ アデノ迅速

小児科研修中。
小児科の先生は上気道症状の患児に対して、アデノウイルスの迅速検査をよくオーダーしています。
特に治療方針に影響は与えないはずだけど、どういった目的で検査するのだろうと聞いてみると、
・通常より経過が長かったり、CRPが比較的高値が出るので、経過の予測に役立つ
・原因が分かったほうが、家族(特に母親)に説明しやすい とのこと。
もちろん細菌の混合感染や二次性感染もあるから決めつけてはいけないけど、使い方次第では有用な検査と思われます。
 
 
【特徴】
小児の発熱性疾患の要因。
咽頭炎や鼻風邪といった上気道症状と最も関連がある
肺炎にもなりうる。
胃腸、眼科、生殖泌尿器、神経疾患の原因にもなり得る。
多くは自然軽快するが、免疫不全患者や健康人にも時に致命的になる。
アルコール消毒は効きにくい?
 
幼児
咽頭炎、鼻感冒、中耳炎
肺炎
下痢
小児
上気道炎、肺炎
咽頭結膜熱
下痢、腸間膜リンパ節炎
出血性膀胱炎
成人
急性呼吸器病
流行性角結膜炎
免疫不全者
肺炎
腸炎、肝炎
出血性膀胱炎、間質性腎炎
髄膜脳炎
 
 
【疫学】
世界中に分布し通年で発生する。
幼児や若年小児の発熱の5-10%。
多くは10歳までに既感染の血清学的証拠がある。集団感染が多い
 
 
【分類】
50種類以上いてA-Fの6グループに分かれる。
Subgroup
Serotypes血清型 Clinical syndromes臨床症状
A 31 Infantile gastroenteritis 幼児の胃腸炎
B
3、7、21 Upper respiratory disease 上気道炎,
pneumonia 肺炎,
pharyngoconjunctival fever 咽頭結膜熱
11、34、35 Hemorrhagic cystitis 出血性膀胱炎,
interstitial nephritis 間質性腎炎
14 Pneumonia 肺炎
C 1,2,5 Upper respiratory disease 上気道炎,
pneumonia 肺炎,
hepatitis 肝炎
D 8, 19, 37 Epidemic keratoconjunctivitis 流行性角結膜炎
E 4 Upper respiratory disease 上気道炎,
pneumonia 肺炎
F 40, 41 Infantile gastroenteritis 幼児の胃腸炎
 
 
咽頭結膜熱=プール熱
特徴:多くはプールなどを介して感染。2類感染症→学校出席停止
疫学:夏季。学童、5歳以下の乳幼児
症状:良性の濾胞性角結膜炎、有熱性の咽頭炎、頚部リンパ節炎
全身:発熱、頭痛、食欲低下、全身倦怠感
眼 :眼痛、流涙、結膜炎、眼脂、羞明
呼吸:咽頭炎咽頭
 
 
特徴:治癒まで2-4週かかる、角膜混濁による視力障害起きうる。3類感染症→出席停止
エンテロウイルスの出血性結膜炎→約1週間で治癒
疫学:1-5歳に多いが、成人など幅広い年齢層にある
症状:両側性結膜炎、耳介前部リンパ節腫脹 → その後有痛性の角膜混濁
   自然軽快。視力障害は残存しない
 
 
【迅速検査】
Reference standardがmultiplex PCR /  sen77.9 spe73.6
Reference standardがshell-viral culture /  sen80.0 spe60.9
(文献3より。日本の迅速キットとは違う)
 
クイックナビアデノの添付文書では
咽頭ぬぐい液検査はPCRをReference standardとすると
Sen87.7 Spe96.9 となっている。
 
 
 
 
【参考】
1)Phyllis F, Epidemiology and clinical manifestations of adenovirus infection, UpToDate, last updated Mar 29, 2016.
2)Flor MM, Diagnosis, treatment, and prevention of adenovirus infection, UpToDate, last updated Jun 3, 2015.
3)(抄録のみ) Romero-Gómez MP, Immunochromatographic test for detection of adenovirus from respiratory samples: is it a real solution for pediatric emergency department?,J Virol Methods. 2014 Jan;195:236-9. doi: 10.1016/j.jviromet.2013.09.002. Epub 2013 Oct 3.
4)クイックナビアデノ添付文書

インフルエンザ predictive symptoms and signs of laboratory-confirmed influenza

Yang, Jeng-How et al, Predictive symptoms and signs of laboratory-confirmed influenza, Medicine. 2015 Nov;94(44):e1952.
 
成人のインフルエンザ患者の、問診や迅速検査の診断精度に関して検討したスタディです。
 
P:台湾の2つの都市部で、18歳以上の成人で上気道症状を呈して外来クリニックを訪れた人
(上気道症状:発熱、咳、寒気、頭痛、倦怠感、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、筋肉痛の1つ以上)
平均33歳、基礎疾患を持つ人の割合も10%程度
 
E:各症状や問診(統一された質問票)、RIDT(迅速抗原検査)
C:RT-PCR(リアルタイムPCR)and or 培養
O:インフルエンザ診断の精度
 
・Reference standardとしてPCRや培養は適切と思われます。
・ExposureとComparisonは互いに独立して評価されています。
・Exposure、Comparisonともに再現性も問題ないと思われます。
 
Reference standardと問診は全員に実施されています。
迅速検査は実施されていない人もいます(臨床判断でするかしないかを決定した?)

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結果は以下です。

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 発熱、咳と、咽頭痛、くしゃみ、soreness(痛み、苦痛といった意味のようですが、どこの痛みのことなんでしょう?)などの組み合わせが有用なようです。
私個人としてはインフルエンザの人がくしゃみをしてるイメージはあまりないんですが、皆さんどう思われるでしょうか。

咳のNLRが0.1(0.02-0.42)であり、咳がない場合には可能性はかなり下がるようです。

迅速検査(RIDT)も陽性・陰性尤度比ともにそれなりに有用なようですが、前述のとおり全員に実施されているわけではないので、選択バイアスの問題で過大評価されている可能性はあるかもしれません。
 
 

高血圧 A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control

JT wright, et al, A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control,N Engl J Med. 2015; 373:2103-2116

高齢者も含め比較的心血管リスクが高い人に対して、降圧目標をどの程度にすればいいかを検討したスタディです。
 
P 50歳以上でSBP130-180の方のうち、糖尿病・脳梗塞以外の心血管リスクがある人
*糖尿病・脳梗塞以外の心血管リスクとして、以下の1つ以上を満たすことが挙げられています。臨床的または無症状な心臓血管疾患
慢性腎臓病(多発性嚢胞腎以外で、eGFR20-60)
Framingham risk scoreで心血管10年リスクが15%以上
75歳以上
 
E SBP<120を目標とする群(Intensive treatment) 
C SBP<140(130-139)を目標とする群(Standard treatment)
O primary:心筋梗塞、ほかのACS脳梗塞心不全、心血管死の結合アウトカム
  secondary:個々のアウトカム、全死亡、primary+全死亡の結合アウトカム
 
・ランダム割り付けされている。割り付け方法はわかりませんでした。
・Baselineはおおむね同等:平均67.9歳、75歳以上が28.2%
・ITT解析されている
・追跡率89.4%、追跡期間は平均3.26年
(5年間の目標だったが思ったより差が出たため早めに打ち切りとなった)
・マスキングはなし
・サンプルサイズは十分
 
結果は以下です。
 

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Primary outcomeは有意にIntensive treatment群で減少しています。
(計算すると、NNTは62.5でした)
Secondary outcomeで有意差があるのは心不全、心血管死、全死亡、Primary outcomeまたは死亡の4項目です。
 
高齢者であっても、Intensive treatment群のほうが予後を改善するという結論になっています。
 
この論文の適用に当たり注意すべきこととしては、
・副作用としてAKI、低血圧、電解質異常(低Na、低K)が多いこと
・介護を必要とする高齢者は含まれていないこと
・長期間使用での腎機能への影響は不明であること
・糖尿病や脳卒中の既往がある方は含まれていないこと
・Intensive treatment群では降圧薬の使用量が多い(Intensive treatmentは平均3剤、Standard treatment群は平均1.9剤)ため、アドヒアランスの低下が起こりうること
拡張期血圧の目標値に関しては記載がないこと
などが挙げられるでしょうか。
 
JNC8で60歳以上は降圧目標を150/90にするといったことが言われていたので、この論文をどう臨床に応用するかは難しいところかと思います。
SBP120を目標にするのは大変かなと思い、間をとって130/80くらいを目標にしようかな などと考えています。
このStudyの結果を皆さんはどのように適用されるのか、ご意見を是非伺いたいです。
 
 
 
 
 

凍傷 凍瘡 しもやけ まとめ

雪山で遭難し、翌日救出され搬送されてきた方。

32度台の低体温と足趾の凍傷(診察時点でⅠ度)がありました。

凍傷の症例は経験がなく、参考文献1を見ながらなんとか対応。

 地元の皮膚科に紹介状を書いて、フォローをお願いしました。
以下はまとめです。
 
【リスクファクター】
疲労、脱水、低栄養、アルコール中毒、末梢血管疾患、糖尿病、精神疾患
 
【症状】
耳、鼻、顎、指、趾などに起きやすい
冷感、しびれ、動かしにくさ、感覚障害、白~灰色の皮膚、解凍により(非)血性水疱

f:id:kateiiryou:20160118235817p:image

(参考文献2より)
 
 
【重症度分類】
①凍傷frostbite
Ⅰ度 紅斑性 発赤、腫脹、凍傷。レトロスペクティブに診断、組織損傷無し
Ⅱ度 水疱性 浮腫、水疱形成(真皮までの障害)、初期は真っ白に見える、皮下は弾力ある
Ⅲ度 壊死性 壊死、潰瘍(皮下組織までの障害)、皮下は弾力あり
Ⅳ度   筋肉、骨までの壊死。皮下は木のように固くなる
 
②しもやけ 凍瘡 chilblain 0度以上で発症する赤紫色の病変
塹壕足(ざんごうそく) trench foot 冷たい水に長時間つかって発症
 
 
【治療】エキスパートオピニオンが多い
・急速解凍rapid rewarming 40度くらいのお湯で数十分加熱 湯温モニター
・局所:患部の挙上安静、水疱痂皮潰瘍処置、切断(4週間以降)
・水疱は吸引する
・NSAIDs トロンボキサンに拮抗、鎮痛
・神経ブロック:硬膜外、交感神経節
・血管拡張:PGE1
・高圧酸素療法
破傷風予防
・禁煙
・重大なアンプタ(複数の指や大腿部など)リスク→tPAやヘパリン
 
 
【参考文献】
1)Philip B, 大滝純司, 他, マイナーエマージェンシー, 第1版, 2009, 医薬品出版株式会社.
2)林寛之, StepBeyondResident2, 羊土社, 2007.
3)Ken Z et al, Frostbite,UpToDate, Accessed on Jan 18, 2016.
 

急性腹症 腹痛 アプローチ まとめ

腹痛は解剖学的アプローチがよく用いられると思います。
症状は罹患臓器を反映します。上腹部痛を起こす臓器は○○と××、逆に胆道系臓器が障害されるとどこの部位に痛みが起きるのか、ということを理解するのが最も理にかなったアプローチなのかな と思い、意識してまとめてみました。
 
 
【罹患部位からのアプローチ】
@特に念頭に置くべき疾患
上腹部痛 上部消化管穿孔、急性膵炎、胆道疾患、急性虫垂炎
下腹部痛 急性虫垂炎、下部消化管穿孔、子宮外妊娠、卵巣嚢腫頚捻転、精巣捻転
全般痛  腸閉塞(絞扼、軸捻転、ヘルニア嵌頓含む)、急性腸管虚血
 
@部位別
  胃腸虫垂 肝胆膵脾臓 心肺 泌尿生殖器 筋骨格皮膚 血液
心窩部
食道、胃、十二指腸、虫垂炎初期、横行結腸
胆道、膵臓
心臓、肺、血管
     
 
右上腹部
胃、十二指腸
肝臓、胆道、膵臓
腎臓
肋骨骨折
 
 
 
左上腹部
食道、胃、十二指腸
心臓、肺
腎臓
肋骨骨折
 
 
臍周囲 胃、十二指腸、小腸、虫垂炎初期 胆道、膵臓 血管      
右下腹部 小腸、回盲部、上行結腸     腎臓、膀胱、生殖器    
左下腹部 小腸、下行結腸、S状結腸     腎臓、膀胱、生殖器    
腹部全体 小腸   血管     あり
不特定領域 腹壁瘢痕ヘルニア、腹膜垂炎       あり  
 
 
@臓器別
①胃腸虫垂
食道:胃食道逆流、食道炎
胃:胃炎、潰瘍
十二指腸:潰瘍
小腸:イレウス+SBO、腸炎、炎症性腸疾患、
   ヘルニア嵌頓(内外鼠径、閉鎖孔、大腿)、過敏性腸症候群、腹膜炎
回盲部:虫垂炎、腸結核
上行結腸:憩室炎、炎症性腸疾患
下行結腸:憩室炎、炎症性腸疾患
S状結腸:捻転
そのほか:腹壁瘢痕ヘルニア、腹膜垂炎
 
②肝胆膵脾臓
肝臓:肝炎、肝膿瘍、肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis )、肝腫瘍、肝静脈閉塞症(BuddChiari)
胆道;胆嚢胆管炎、総胆管結石、胆石症
膵臓:膵炎、膵腫瘍
脾臓:梗塞、破裂、膿瘍、遊走脾
 
③心肺
肺:肺炎、胸膜炎、肺塞栓、横隔膜下膿瘍
血管:腹部大動脈瘤破裂、大動脈解離、腸間膜虚血
 
④泌尿生殖器
腎臓:尿管結石、腎盂腎炎
膀胱:膀胱炎
男性:精巣捻転、精巣上体炎
女性、子宮外妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、骨盤内炎症性疾患、子宮内膜症
 
⑤筋骨格皮膚
筋骨格:肋骨骨折、筋肉痛
皮膚;帯状疱疹
 
⑥血液
代謝;糖尿病性ケトアシドーシス、急性間欠性ポルフィリン症、鉛中毒、急性副腎不全
リウマチ:家族性地中海熱
 
@疼痛部位と罹患臓器の位置の乖離
・自発痛の位置と解離
 急性虫垂炎→上腹部痛、胆嚢炎膵炎→背部痛、尿管結石→尿管方向、精巣捻転→下腹部痛 など
 
・罹患部位が想像より広がっている
 左下腹部痛→虫垂炎:長くて先端が左へ、下腹部痛→膵炎:浸出液が骨盤腔まで達する など
 圧痛の最強部中心部を探す
 
・臓器が本来の位置に無い
 内臓逆位、腸回転異常、左側胆嚢、食道裂孔ヘルニア、オペ後
 高齢で右肺手術既往/右横隔神経麻痺など→胆嚢の位置が上へ
 高度な亀背→肋骨弓が骨盤腔に入り込むほど→胆嚢炎が右下腹部、虫垂炎が右上腹部となったりすることも
 
【緊急性からのアプローチ】
①ショックの場合
・出血性(外傷除く)
腹部血管疾患:腹部大動脈瘤破裂、腸骨動脈瘤破裂、腹腔動脈瘤破裂
肝脾疾患:HCC破裂、脾破裂
婦人科疾患:子宮外妊娠、卵巣出血
→エコーでチェック、必要なら穿刺で出血であること確認
 
敗血症
原疾患→汎発性腹膜炎→敗血症:広範な腸壊死や下部消化管穿孔など
原疾患+-限局性腹膜炎→敗血症:急性胆嚢炎胆管炎、虫垂炎など
 
・脱水による
急性膵炎、腸閉塞、重症膵炎、上部消化管穿孔など
 
上記が原因
ショック、呼吸不全、軽度黄疸、低体温、mottling(斑点形成)、意識障害、重度の代謝性アシドーシス
 
③汎発性腹膜炎
・板状硬board like rigidity 
強い自発痛、カチンコチンで腹壁は揺れない、特に上部消化管穿孔
・反跳痛が明らか
特に下部消化管穿孔 腹部全体膨満、ゴム風船を膨らませたような弾力のある硬さ
・明らかに局在
穿孔性の虫垂炎や胆嚢炎など
 
*手術適応にならない例外:急性膵炎、原発性腹膜炎、重症の急性腸炎
 
 
【痛みの性状からのアプローチ】
①七転八倒
通常結石性疾患(尿管結石、胆石など)、ほか臓器虚血
→腹膜への炎症波及がないため動くことによる痛みの増強がない
 
②苦悶様
腹膜刺激があるためじっとしている。上部消化管穿孔、急性膵炎など
 
*痛みがマスクされる状態
麻痺(脊損、脳血管障害)、高齢者、統合失調症、肥満、糖尿病、妊娠
 
*疾患の進行で痛みが和らぐ場合
穿孔:穿孔直前~時が最も痛い?、その後は少し和らぐ
梗塞(SMA閉塞など):虚血は痛いが、壊死に至ると臓器自体の痛みはなくなる
 
 
【随伴症状からのアプローチ】
①悪心嘔吐食欲低下
1.程度や性状
悪心のみ:腸閉塞はやや否定的
水様吐物:腸閉塞らしい
 通常黄茶褐色(便汁様)、十二指腸に近い閉塞だと緑色が強くなる
食物残渣:嘔気や疼痛に伴うもの、胃出口での閉塞
 例外:絞扼性腸閉塞など→痛み強い→初期は食物残渣のこともある
 
2.罹患部位との関連
本管(胃小腸大腸)→悪心強い、口側でさらに強い
虫垂       →悪心あるが長続きしない
側管(胆管胆嚢膵臓)→悪心弱め、強い痛みに伴って吐き気が出る
後天的な側管(憩室など)→ほぼなし
 
②下痢
頻回大量の水様下痢→ほぼ腸炎:腸管粘膜側の病変で、かつ消化管蠕動が低下していない
頻回だが少量の下痢→骨盤内で直腸に接する炎症(虫垂炎、膿瘍、PIDなど):テネスムス(しぶり腹)
そうでない場合→鑑別多数
*血便黒色便を下痢と表現することもあるため注意:特に高齢者
 
③体温
明らかな発熱:感染性疾患から鑑別
平熱:非感染性疾患から鑑別
低体温:敗血症を鑑別
虫垂炎胆嚢炎などCommon diseaseは発熱の有無は重視しない
*悪寒戦慄の有無確認
 
④黄疸
胆管炎を考える。敗血症では軽度黄疸を伴うことあり
 
⑤他部位の疼痛
腰背部:後腹膜病変 大動脈など
右肩甲骨:胆石、胆嚢炎
左肩:脾臓 膵臓 左横隔膜
右肩:甘草 右横隔膜
上半身;右下葉肺炎 膿胸
肩顎歯;心筋梗塞
下肢:血管疾患(解離など)、閉鎖孔ヘルニア
 
 
 
【女性へのアプローチ】
①想起
消化器症状が乏しい、発熱を伴わない腹痛持続痛など
例外:卵巣捻転→嘔吐、PID→発熱
 
②年齢
初潮~20代前半:卵巣頸捻転、子宮外妊娠、PID、卵巣出血
20代後半~;上記+子宮内膜症
子宮筋腫→中年
子宮瘤嚢腫→高齢者
 
③妊娠反応検査
「妊娠可能な年齢の女性の腹痛でレントゲンCTを行うときには、検査することになっています。
あなた自身が妊娠しているかどうかとは関係ありません。
全例で尿検査してほうが正確であることがわかっているからです。」
それでも拒否された場合には、その旨をカルテに記載。
 
④妊娠可能性者への対応
・問題になるケース
放射線被ばくのある検査
薬剤の使用
手術の決定
 
・原則
対応は産科医と協議
妊娠胎児には常に一定の自然リスクがある。
母体の健康=胎児の健康
 
 
【参考文献】
1)窪田忠夫, ブラッシュアップ急性腹症, 第1版, 2014, 中外医学社.
2)松村理司, 診察エッセンシャルズ, 新訂版, 2009, 日経メディカル開発.
3)Scott DC et al, 考える技術 臨床的思考を分析する, 第2版, 2011, 日経BP社.