家庭医療専門医の勉強記録

医学・非医学問わず、学んだことを投稿しています。内容の間違いなどありましたらご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

セロトニン症候群

 
重要
抗鬱薬、抗痙攣薬、抗パ剤、リチウムなど服用者にメジコンプリンペラン、トリプタン製剤などを安易に処方しない!
 
 
Rapid overview
臨床+ラボの特徴
〇Hunter分類:セロトニン作動薬+以下1つ以上
 1.自発的なミオクローヌス
 2.誘発クローヌスと興奮または発汗
 3.眼球クローヌスと興奮または発汗
 4.振戦と腱反射亢進
 5.筋強剛
 6.BTが38℃以上で眼球クローヌスまたは誘発クローヌス
 
〇臨床診断であり、ラボで確定診断はできない。軽症~致死的状態まで様々
 
〇臨床所見:神経学的所見は下肢の方が目立つ
高体温、興奮、眼球クローヌス、振戦、静座不能、腱反射亢進、誘発性または自発性クローヌス
筋強剛、散瞳、粘膜乾燥、腸蠕動亢進、皮膚紅潮、発汗
 
〇検査所見:鑑別や合併症モニタリングに役立つかも
CBC電解質、BUN/Cre
CK、肝酵素、凝固、尿検査
培養:血液、尿
CXR、頭部CT、ルンバール
 
鑑別診断
悪性症候群、抗コリン薬中毒、悪性高体温、交感神経刺激薬中毒、髄膜炎脳炎
 
治療
セロトニン作動薬中止
ベンゾジアゼピンで鎮静:興奮と神経筋異常(振戦やクローヌス)、HRやBP↑がなくなるのが目標
ロラゼパムワイパックス🄬1-2mgIV 小児なら0.02-0.04mg/kg)
酸素、IV、心電図モニター
合併症予測:バイタルサインフォロー
BZDと対症療法失敗時:シプロヘプタジン使用(12mgPO)
41.1度以上ならすぐに鎮静、筋弛緩で挿管 ASAPなどの解熱剤は使用しない
 
Serotonin syndrome (serotonin toxicity) last updated: Mar 12, 2018.
 
 
原因薬剤
アンフェタミン、コカイン、MDMA、LSD、レボドパ、カルビドパ
• トラマドール、ペンタゾシン、メペリジン
SSRISNRI、TCA、MAO阻害薬
• リネゾリド
• 5‐HT3阻害薬(オンダンセトロン、グラニセトロン...)
• メトクロプラミド(プリンペランR)
シブトラミン(やせ薬)
• シクロベンザプリン(中枢性筋弛緩)
• デキストロメルファン(メジコンR)
• ブスピロン(5-HT1A阻害薬、抗不安薬)
• トリプタン製剤、エルゴタミン
• リチウム
 
J hospitalist network 「セロトニン症候群」

お勧めiphoneアプリ 

同じく総合診療医向けの役立つツールの、iphoneアプリ版。

 

【(多分)無料のもの】

Evernote

Evernote使用者は必須

 

Dropbox

Google drive

お好みに応じて

 

・MedCalc Pro

プレディクションルールの計算など

 

・Epocrates

薬の相互作用確認。

 

M2Plus(各書籍の購入は有料)

今日の治療薬、当直医マニュアル、サンフォード、フローチャート漢方薬治療を入れてます。

 

・添付文書Pro

添付文書が見たいとき。

 

・ePSS

ヘルスメンテナンスはGeneralistの必須項目です

 

・UpToDate&Dynamed

総合診療医必須の二次文献

 

・TG18

胆嚢炎胆管炎のガイドライン。診断基準やフローチャートがみられる 

 

・RESUS-US

エコーの正常像と異常像が対比して見られる

 

・ABFM Exam Prep

american board of family medicine(アメリカ家庭医療学会)による問題集アプリ。

 

 

【有料のもの】

・Good reader

自炊した教科書を入れておく

 

・Johns hopkins ABX guide

感染症ガイドライン。英語のみ。サンフォードと違い、治療期間が載っている

 

・VISIBLE BODY

・Team Lab Body

解剖アプリ。VISIBLE BODYの方がお勧め。3Dで筋骨格系の動きの動画もみられる。

 

・断面図ウォーカー

CTやMRIにおける解剖がわかる名アプリ。

 

 

2018/6/6作成

 

爪形成症 Onychogryphosis

療養病棟とか施設とかに行くと、ほぼ必ずいらっしゃる爪がものすごく変形している方たち。
実はこれ、立派な病名がついてまして、
 
爪形成症 Onychogryphosis
 
といいます。
というわけで、まとめ。
 
【Onychogryphosis 爪形成症】
「羊の角」「カキ」に例えられる。
最初は上向き→その後外側へ 
*最初外側に行く場合は先天性の配置異常(malalingnment)かも
原因:爪を切る回数が少ない(最多)、外傷、爪床肥大、外反母趾など骨性の変形
(真菌症との関連は記載がない)
治療:切ったり削ること
 
(Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2005 Nov-Dec;71(6):386-92.)
 
 
 
図は Rich.P, Overview of nail disorders, UpToDate, last updated: Aug 29, 2017. より引用