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家庭医レジデントの備忘録

内容の間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

クループ

診察室で「ケンケン」と聞こえたら真っ先に考えるべき疾患でしょうか。

咳をあまりしてくれない子もいて、そういう子は泣いた後に「ヒュオッ」と息を吸うのがクループっぽいと小児科の先生が教えてくれました。

 

 
【定義、特徴】
特徴:喉頭、声帯下の炎症によるStridor、咳、嗄声などの呼吸障害
病因:ウイルスが多く、細菌は二次性。パラインフル1が最多、ほかRSウイルス、インフルエンザ
好発:6-36か月に最多、春から初秋
 
*好発年齢以外なら器質的疾患考慮
6ヶ月未満 血管輪など
学童以降 ポリープ、腫瘍など
 
 
【臨床症状、評価、診断】
鼻過敏、鼻閉、咳など上気道症状から始まり徐々に増悪
12-48時間以内に発熱(平熱例もある)、嗄声、犬吠咳(けんばい)、stridor
 
嗄声や犬吠咳:急性喉頭蓋炎、異物、血管神経浮腫では通常なし
発熱:ない場合は痙攣性クループ、異物、血管神経浮腫など
嚥下困難:急性喉頭蓋炎、異物など
流涎:扁桃周囲・咽後膿瘍、咽頭後壁蜂窩織炎喉頭蓋炎。あるスタディでは喉頭蓋炎の80%、クループの10%にみられた。
咽頭痛:喉頭蓋炎で60-70%、クループで10%
大泣き後の吸気時のヒュー音:名称がなさそうだけど、小児科drによると有用とのこと
 
○診断
犬吠様咳嗽やStridor、流行状況などから総合判断
              
○診察
できれば泣かさず診察(浮腫悪化の懸念)
咽頭や鼓膜などの診察は場合によっては省略したり後で行う
 
○鑑別
喉頭蓋炎:発熱、ぐったり、sniffing positionなど
気管異物 5killer sore throat 血管神経浮腫 上気道損傷 上気道奇形 など
 
○レントゲン:特に異物の除外に有用

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(文献2より)Steeple sign(上気道狭窄):正常児でも呼吸の相によっては見えることあり 
 

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(文献2より)矢印:声帯下狭窄 矢頭:下咽頭の拡張
 
youtubeで典型的な犬吠様咳嗽のビデオがあります。 
 
【重症度】The Westley croup score
項目\点数 0 1 2 3 4 5
意識 正常(睡眠含む)         失見当識
チアノーゼ なし       興奮時 安静時
Stridor なし 興奮時 安静時      
Air入り 正常 減少 著明減少      
陥没呼吸 なし 軽度 中等度 高度    
 
0-2点:軽症
3-7点:中等度
8-11点:重症
12-17点:切迫呼吸不全
→前駆症状として倦怠感、著明な陥没呼吸、呼吸音減弱、意識レベル低下、熱以上の頻脈、チアノーゼや蒼白
 
 
【マネジメント】
①軽症例:デキサメタゾン→効果遅い、再発予防目的
・経口のデキサメタゾンの単回投与:0.15~0.6㎎/㎏ 0.1mg/ml
(文献1では同量のベタメタゾンや、筋注静注も可となっている。)
・軽症ではエピネフリン(ボスミン®)吸入は文献1では推奨なし
・湿気の吸入:メタ解析で効果ないが、快適かもしれない。使っても変わらなければ中止。
 
②中等~重症:ボスミン®吸入+デキサメタゾン
・ボスミン外用液0.1%:生食2mLに溶かして15分で吸入 効果早い
(文献1は0.2ml、文献2は0.05mL/kg(最大0.5mL) 現在の勤務先は0.5mlに統一されてる)
・15-20分毎に繰り返し投与OK、2-3時間以内に3回以上投与するなら心電図モニターするべき
 
デキサメタゾンやリンデロンのシロップ剤は、甘ったるくて量も多くて飲むのは大変。
 細粒があればそちらの方が飲みやすいかも
*ボスミンや加湿でかえって泣いたりして悪化することもあるため、軽症でやるかどうかは微妙
 
 
【参考】
1)横田俊平, 他, 小児の薬の選び方使い方, 改訂第4版, 2015, 南山堂.
2)Charles RW, Croup: Clinical features, evaluation, and diagnosis, UpToDate, last updated Dec 15, 2015.
3)Charles RW, Croup: Approach to management, UpToDate, last updated Apr 17, 2015.