所属するオンラインサロンのイベントで紹介されていた本。
イベント自体は仕事で参加できないが、興味を持ったので読んでみた。
「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「中央公論」[1940(昭和15)年]。聖書から素材を採った作品で、「あの人は酷い。酷い。厭な奴です。悪い人です。」という誹謗から始まって、ユダの心のゆれ動きが迫力に満ちた告白体で一気に綴られている。ユダの中にあるキリストに対するアンビバレンツな愛憎を、切実に心理的に表現した傑作として名高い。
(amazon概要)
読み終わった最初の印象は、
ユダの情緒不安定すぎ。
の一言に尽きる。
人間は両価的な側面があるから、心理的な動きは理解できないこともないが、あまりにも極端すぎて、一緒にいたら疲れそう。
と、これだけで感想を終えるとあまりにも浅いので、ほかにも付け加えてみる。
人間は両価的な側面があるから、心理的な動きは理解できないこともないが、あまりにも極端すぎて、一緒にいたら疲れそう。
と、これだけで感想を終えるとあまりにも浅いので、ほかにも付け加えてみる。
〇”情緒不安定”をポジティブに捉える
”情緒不安定”はかなりネガティブな響きを持つワードだが、敢えてポジティブに捉えなおしてみる。
例えば、”心理的に柔軟”という言い方は可能かもしれない。
キリストに対する尊敬・感謝・愛という感情に固執せず、状況に応じて柔軟に考えを改めることができる、と考えれば、長所と捉えることも無理ではないかも?
あと、ユダがこのような告白を旦那にしているという行為自体も、
”自らの弱さを曝け出すことができる”という強みと捉え直すことも可能かもしれない。
〇なぜ、太宰治はこのような小説を書いたのか?
Wikiによると、太宰治はキリスト教に強い関心を抱き、キリスト教を題材にした作品をいくつも作っている。
そして、ユダの裏切りは、神学的にも謎が多い問題らしい。
・イエスは裏切りを予知していた。ならばなぜ回避できなかったのか?
・ユダはいつから背信の心を持ったのか?
・裏切りの動機は何か? そもそも彼の自由意志によるものか?
それに対して、太宰治は一つの解釈を提示したのだ、と考えることもできそう。
そして、ユダの裏切りは、神学的にも謎が多い問題らしい。
・イエスは裏切りを予知していた。ならばなぜ回避できなかったのか?
・ユダはいつから背信の心を持ったのか?
・裏切りの動機は何か? そもそも彼の自由意志によるものか?
それに対して、太宰治は一つの解釈を提示したのだ、と考えることもできそう。
〇駈と駆の違い
「駈」という漢字を初めて見たが、これは「駆」と同じく”ける”を付けて「かける」と訓読みするようだ。
駈は旧字体、駆は新字体。
https://okjiten.jp/kanji1230.html
たまに調べるが、漢字の成り立ちって興味深くて結構好き。
駈は旧字体、駆は新字体。
https://okjiten.jp/kanji1230.html
たまに調べるが、漢字の成り立ちって興味深くて結構好き。