哲学者の業績を並び立てた本としての入門書ではなく、これから哲学をどう筋道立てて行くべきか、という意味での入門書。
認識の謎の解明が本書のキーだと思うので、その部分を要約。
メモ的に言語の謎についても載せた。
認識の謎の解明が本書のキーだと思うので、その部分を要約。
メモ的に言語の謎についても載せた。
認識の謎
疑えないのは「内在的知覚」であり、「超越的知覚(確信)」はどこまでいっても疑うことはできる。
人それぞれの超越的知覚を言語化し、普遍的な共通了解を目指すことが、共同体を安定させ、ともに生きるために必要である。
それらの知覚は、欲望に相関する。(欲望-関心相関性の原理)
たとえばダニにとって人間は血を吸う欲望の対象でしかない。そのため(内在的)知覚するのは酪酸の臭いや体温だけである。
(本書には記載はないが、同じものを内在的知覚として与えられていても、超越的知覚が異なることもあると思われるので、例を出してみる)。例えば子どもの算数のテストが90点だったとして、父は「この程度のテストなら満点を取ってほしい」から「不甲斐ない結果」と確信し、母は「テストの結果なんて気にしすぎないで欲しい」から「頑張った結果」と確信する。
内在的知覚から超越的知覚に至る内的構造を洞察するのが、本質観取である。
優れた本質観取は、
①外的情報ではなく内的経験の内省に依拠し、
②類似した概念との違いを明確にする。
それにより、
③他者が内省によって検証し、更に普遍的な本質へと展開することができる。
言語の謎
言語ゲームにおいては、辞書的な言葉(一般意味)を媒介として、伝えたい意味(企投的意味)と、受け取った意味(了解的意味)が生じる。
だから、辞書的な意味だけで考えていると矛盾が生じるが、現実においてはそうはならない。(嘘つきのパラドックスなど)
「嘘つきのパラドックス」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
だから、辞書的な意味だけで考えていると矛盾が生じるが、現実においてはそうはならない。(嘘つきのパラドックスなど)
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