Chest. 2018 Mar;153(3):601-610.
レントゲンで診断した肺炎(CXR pneumonia)と、レントゲン陰性でCTで診断した肺炎(CT-only pneumonia)を比較した研究です。
臨床アウトカムにいずれも有意差がなかったことから、レントゲンではっきりしなくても疑わしかったらCTも撮像して診断する、というプラクティスが正当化されるかもしれません。(CTが撮像できるセッティングなら)
ただ、気になる点がいくつか。
①CT-only pneumoniaの症例数が少ないため、もっと症例数が集まれば有意差がつくのかもしれません。サンプルサイズの計算はなさそうでした。
②入院患者のみを対象としているので、外来症例でどうかはわかりません。また、Studyが行われた病院の規模はわかりませんでしたが、除外基準で移植とか免疫不全とか書いてあるのを見ると、それなりの規模の病院なのかなという印象を受けます。
③レントゲン陰性で、CTは撮像されてないけど臨床的には肺炎が疑われる、という症例は含まれてません。
⑤普段見ている症例と比べると年齢が若いです。
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P
18歳以上で急性呼吸器症状があり、研究専任の放射線科医師により肺炎の画像診断を受けて入院となった患者
除外:免疫不全のない人で過去28日以内の入院、または免疫不全のある人で過去90日以内の入院、ADL自立でないナーシングホーム入居者、気管切開、胃瘻造設後、嚢胞性線維症、好中球減少を伴う腫瘍、過去90日以内の移植、アクティブなGVHD、閉塞性細気管支炎、HIVでCD4<200、肺炎以外の診断
I/C
レントゲンかCTで肺炎診断
*治療医が研究と関係なく検査を選択
(レントゲンのみ または レントゲン+CT。CTのみ撮像というケースは含まれてないようだ)
↓2つに分類し解析
CT-only pneumonia:CTでのみ肺炎が見つかりCXRでは肺炎なし
CXR pneumonia:CXRで肺炎あり(CTの有無や結果は問わず)
PO
初期の臨床徴候
投与された抗生剤
病原体
短期臨床アウトカム(入院期間、ICU入室、人工呼吸器管理、昇圧剤を要する敗血症性ショック、中等度以上のARDS、入院中の死亡)
SO
なし
T
コホート研究
症例数の偏りが大きい。
併存症は有意差なし
PSI、CURBは低めに見えるが有意差はない
CT-only pneumoniaの方が年齢がやや若い 両群とも50代
使われた抗生剤はこんな感じ
レスピラトリーキノロンの率がどちらも結構高い
病原菌
細菌は肺炎球菌が多く、ほかは少ない
ウイルスはライノウイルスが、CT-only pneumoniaで多い
アウトカム
いずれも有意差なし