応用哲学を学ぶ人のために
上記書籍の中の「臨床治験を哲学する—EBMと”証拠のヒエラルキー”」という論考を読んだ感想のメモ。
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EBM(Evidence based medicine)とは、臨床研究などのデータを元にして医療を行うという方法論のこと。
研究の中でも特に重要視されるのがRCT(ランダム化比較試験)。
(画像はhttps://cmj.publishers.fm/article/21576/ より引用)
RCTは患者を治療する群としない群にランダムに割り付けて、治療介入以外の要素の偏り*をなくすことで、治療の効果を正しく評価しよう、という手法。
*性別、年齢などのわかりやすい要素や、現在の科学では解明されてない未知の要素も含む
ただ、「ランダムに割り付ければ」それらの要素は偏りが生じないかと言えば、そうとは言い切れない。
ランダム割り付けを無限回行えば、偏りは防止できるだろうが、1回だけのランダム割り付けでは大きく偏ってしまう可能性は否定できない。
このようにRCTは原理的に問題を抱えている。
・・・と書いてあったし、確かにそうだと思ったのだが、コンピュータを使えば無限回のランダム割り付けもできるのでは?という気もする。実際のStudyではどうなんだろうか。
この論考ではRCTをヒエラルキーの頂点に置くのではなく、様々な研究方法を公平にみて、その場その場に適した手法を「方法のカタログ」から選ぶのが良いのでは、と提案している。
・・・具体的なイメージは浮かばないが、面白そうな試みだと思う。