家庭医療専門医の勉強記録

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現代思想入門 メモ

 

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現代は秩序を強化する方向にある。

現代思想は秩序強化に警戒心を持ち、秩序からのズレ=差異に注目する。

 

二項対立があったとき、ある価値観を背景にすると、一方がプラス、もう一方がマイナスとみなされる。

その二項対立や価値観を徹底的に疑い、脱構築を試みるのが現代思想である。

  

 

デリダ:概念の脱構築

パロール話し言葉)とエクリチュール(書き言葉)の対立を考える。

 

パロールは直接的で、本質的で、現前性(目の前に本物がある)がある。

エクリチュールは間接的で、元のものから離れているために誤配・誤解の可能性がある。非本質的。

 

パロールの方が優越性を持つとみなされがちだけど、どちらにもそれぞれの良さがある。ただし、それはどっちもどっちという相対主義ではない。

優柔不断なのはいけない。責任をもって決断しなければいけない。どっちつかずの態度でいると、人に振り回されることになる。大人になるというのは、決断の重さを引き受けることだ。

というツイートが本書内で紹介されている。

人に振り回される=自分が自分でなくなる=間接的=エクリチュール

責任をもった決断=直接的=パロール

 

重要なのは、「未練込みでの決断をなす者こそが大人」だということだ。

 

我々は確かに、生きていくうえで決断をせざるをえない。広い意味で暴力的であらざるをえない。ただし、決断は完全固定ではなく仮固定である。

また、未練とは他者性への配慮のことである。決断で選ばなかったもう一方への思いを残しておくことである。

 

ドゥルーズ:存在の脱構築

一般的な二項対立は、同一性が先、差異が後である。

私と自転車はそれぞれ同一性をもつ個物として存在し、関係性としての差異は後である。

 

しかしドゥルーズはその関係性を逆転し、差異が先、同一性が後と考える。

物事の背部の諸々の関係性(バーチャル、生成変化)が先にあり、仮固定としての同一性(アクチュアル、出来事)は後だと考える。

酸塩基平衡のような動的平衡のようなイメージだろうか。

 

また、ドゥルーズは存在はすべてが繋がりあうリゾーム的な関係性でありながら、同時にあちこちで途切れている(非意味的切断)とも述べた。

関係と無関係のバランスが大事である。

 

フーコー:社会の脱構築

社会には、多数派を正常とみなし、そうでないものを異常とみなし排除しようとする動きがある。異常をマイナスとみなし早期介入することは、マジョリティに適合させるためのケアという側面も否めない。(例:発達障害等)

 

近代は自己監視のパノプティコン的社会で、規律訓練により人民が内的に自律することを求めた。

現代は生政治的で、人々を集団・人口として扱おうとする。(例:ワクチンなど)

 

現代思想の源流:ニーチェフロイトマルクス

秩序(アポロン)VS混乱(ディオニュソス)の対比で考える。

 

ニーチェ

秩序(アポロン

混乱(ディオニュソス



同一性

差異

下部構造

アリストテレス

形相(かたち)

質料(素材)

プラトン

理想の形=イデア

 

フロイト

意識

無意識(性的エネルギー)

 

必然

偶然

 

物語化

他者=コントロールできない

 

精神分析は構造を見る。色々しゃべってもらうことにより症状(=物語=固定されたもの)が解きほぐされる。

マルクスは搾取されない、より自律的な力(ディオニュソス的な)の発揮ができないかを考えた。

 

精神分析現代思想

まとまっていない認知のエネルギーを制限するのが、人間の発達

認知エネルギーは自由に流動する=欲動 

制限とは有限化。母と一体でい続けられない不安、戻ってきたときの喜び。死の偶然性と隣り合わせの快=享楽。

邪魔するものが父であり、父の介入が去勢。

母の代理としての欲望の対象が「対象a」だが、本当の満足は決して得られない。