LIBERというオンラインサロンのブログに投稿したものの、転載になります。
ひとりとは?
・「単位としての一人」:空間時間の課金対象
・「孤独・独身の独り」:孤独・自由・独身
・「状態としてのひとり」:一定の時間、帰属先の集団から離れてひとりになる状態
空間とは?
・物理的な空間
・情報空間:電子メディアやネットワーク
↓
「ひとり空間」とは、一定の時間、ひとりの状態が確保された空間を指す。 39p
*なぜ都市論か?
都市において、「ひとり」であることは正常だから。
長期的ひとり:進学や就学で上京する単身者
短期的ひとり:移動中に、帰属先から離れて一時的にひとりになる者
ひとり空間の歴史
源流をさかのぼると、鴨長明の方丈庵にたどり着く。
戦後の「ひとり空間」の変遷
住み込み間借り
→寮や木造賃貸
→ワンルームマンション:匿名性の確保
→デザイナーズマンション・分譲マンション:匿名性を確保しつつ、見せる・魅せる空間演出
→シェアハウス:所有より共有、「ひとりでいる状態」と「他者といる状態」のスイッチング
戦後の「ひとり空間」の変遷
住み込み間借り
→寮や木造賃貸
→ワンルームマンション:匿名性の確保
→デザイナーズマンション・分譲マンション:匿名性を確保しつつ、見せる・魅せる空間演出
→シェアハウス:所有より共有、「ひとりでいる状態」と「他者といる状態」のスイッチング
モバイルメディアによるひとり空間への影響
①本
スマホや携帯電話に限らず、本もモバイルメディアである。
(最古のモバイルメディアは、恐らく石板やパピルスである。)
我々は、たとえ満員電車でも、読書により自分の世界に浸ることができる。
周囲との間に「見えない仕切り」を生じさせるような行為を「離脱」という。
(最古のモバイルメディアは、恐らく石板やパピルスである。)
我々は、たとえ満員電車でも、読書により自分の世界に浸ることができる。
周囲との間に「見えない仕切り」を生じさせるような行為を「離脱」という。
ゴッフマンは、このような満員電車への乗車の例のように、集団を取りまく状況に外見上は参加しているように見えながら、自分だけの世界に遊離する行為を「離脱」と呼んだ 154p
②ウォークマン
本と違い、移動中でも「離脱」を可能にしたのがウォークマン。
ウォークマンを装着して歩くと、「見えない仕切り」によって立ち上げられた「ひとり空間」が、都市空間のなかを連続したチューブのように貫通していく感覚を味わうことができる。 156p
③ケータイ
ウォークマンと違い、ケータイは「離脱」しつつも他者とコミュニケーションがとれる。
ウォークマンでは、「ひとり空間」がバラバラに存在していたのに対し、携帯電話では、物理的に離れた「ひとり空間」と「ひとり空間」がオンライン上で接続するようになったのである。 156p
④スマートフォン・SNS
スマートフォンによる変化は、以下のようにまとめられている。(詳細は割愛)
①常時接続社会の接続指向と切断指向
②パーソナライズする世界とパーソナライズされる世界
③仕切る空間から仕切られる空間へ
④匿名性・異質性の減退
⑤マッチング精度の向上
⑥検索不可能性の希求
⑦個人の複数性とスイッチング
⑧細かい時間単位の同時並行的なミクロ・コーディネーション 158p
コミュニティからアソシエーションへ
これまで家族や近隣住民、村落など「緊密なコミュニティ」に特有のものだった交換行為と交換形態が、P 2 Pプラットフォームに媒介された「半匿名の個人」が集まる「アソシエーション」において広がりを見せるようになった 213p
*P 2 P:「対等な者同士」を意味する"Peer to Peer"の略語であり、端末を介した一対一の対等な通信方式のこと
*コミュニティ:地縁血縁による連帯 統合的拘束的
*アソシエーション:共通の関心や目的による連帯 部分的複数的
このアソシエーションにより生まれる人間関係は、以下のように説明される。
*コミュニティ:地縁血縁による連帯 統合的拘束的
*アソシエーション:共通の関心や目的による連帯 部分的複数的
このアソシエーションにより生まれる人間関係は、以下のように説明される。
都市空間へのP 2 Pプラットフォームの重層化によって、匿名性が低くて拘束性と同質性の高い「農村・地方型」の人間関係と、匿名性と異質性が高くて拘束性の低い「都市型」の人間関係の中間状態が生まれることになる。 214p
さて、このような人間関係は、社会問題化している「社会的孤立」を解消しうるか。
本書では、YESでもありNOでもあると答える。
YESの点としては、匿名性が減り、持続的な関係になりうることがある。
NOの点としては、スキルを持つ者と持たない者の新たな格差が生まれることや、いつでも解消可能な関係であることが挙げられる。
ー-----------------------------
LIBERはP2Pプラットフォームではない(と思う)ですが、この「アソシエーション」という概念に合致する点がいくつもあるように思いました。
・匿名性
僕も含めて多くの方は本名をフルネームで公開はしていないし、住所なども公開しておらず、一定の匿名性は保たれている。
でも完全な匿名ではなく、僕はこのアソシエーション内では「こば」としてラベリングされ、ブログやストーリー、他者のリアクションなどを通じて、その人となりが可視化される。
(オフラインで会ったりすると、さらに匿名性は減る)
・同質性/異質性
恐らく、LIBERメンバーは「何らかの形で”本”に興味を持っている」という意味では共通していて、その点では同質的。
一方、住む場所は日本全国・海外含めバラバラだし、職業も様々であり、異質的。
・格差
LIBERにおける”スキル”は、いわゆるコミュ力、ブログを書く際の文章力、知識や読書量などだろうか。
そのスキルの差は、自身のアウトプットに対するリアクションの差として反映される。
気にしないようにと思っても、つい数字に引っ張られて他者評価を気にしてしまう承認欲求煩悩の私・・・
・拘束性(解消可能性)
人間関係が深まれば拘束性が生まれるが、退会してしまえば解消可能でもある。
・複数性
僕自身は他のアソシエーションには属していないが、人によっては複数のオンラインサロンに入会していたりもあるかもしれない。
僕は、普段は田舎で「農村・地方型」の人間関係を垣間見ながら仕事をしつつ、仕事が終われば地方都市に戻って「都市型」の人間関係で、隣室の人とも殆ど顔を合わさない日々を過ごしてます。
LIBERというアソシエーションも、世界観を広げるうえですごく興味深いと思いつつ、もう少しかかわりを増やしたいとも思っています。
やっぱそのためには転職かなぁ・・・時間がない。
さんが構想されたLIBERという空間の特殊性について思いをはせつつ、本の紹介を終えます。