家庭医療専門医の勉強記録

医学・非医学問わず、学んだことを投稿しています。内容の間違いなどありましたらご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

玄人になろう



(スタンドUPスタート)

1月からドラマ化された漫画のワンシーン。
(ドラマは見てないし、漫画も買ったわけではなくLINEマンガで無料で読んだだけですが・・・)

パチンコ店などの欲求ビジネスは、客の欲求を煽れば比較的簡単に利益を出すことができる。だからこそ、店側にはコンプライアンスが求められ、「玄人」である必要がある。
と、そんな内容。


これ、医療も通ずる部分があるなぁと思いました。

僕の日常診療でかかわる依存症は、大きく3つあります。

一つはニコチン依存症。
タバコは年々値上がりしているし、喫煙に関する規制も厳しくなってきているので、禁煙する人は徐々に増えてきています。
禁煙外来で、保険診療で治療薬も処方できるし、サポートも充実してきています。

二つ目は、アルコール依存症
こちらはタバコよりも難しい、と思っています。
・まず、規制が緩い。手軽に手に入る。
・僕の主観だとタバコよりも合併症が多い。肝硬変・肝細胞癌など肝臓の病気だけでなく、心臓・脳・胃腸などなどいろんな臓器がやられる。
・依存具合が認識しづらい。何%のアルコールを何ml摂取しているのか、本人も正確な把握が難しいし、医療者側も正確に認識しづらい。

三つ目は、ベンゾジアゼピン睡眠薬の依存症。
これの罪深いところは、医師が作り出している依存症ということ。
善意による処方であれ、悪意のある処方であれ。

そして、現在の保険診療において、依存症を断ち切るために丁寧に受け答えするよりも、言われるがままに薬をさっさと処方した方が、時間もかからないし、処方箋料がもらえる分、利益も大きい。
だからと言って、薬を一切拒否するのが正解とは限らない。
要求を単にはねのけるだけなら、医師患者関係は悪化するし、患者はほかの医療機関に頼んで薬を出してもらうだけのことになるかもしれない。


依存症に限らず、医学的に適切でない(と思われる)対応を希望される方にどう対応するか、というのは常に悩ましいです。


玄人を目指して頑張ります。